1911年頃
カルトンに油彩 / Oil on carton

 リズミカルな輪郭線と、シンプルな色で構成された自画像。手にしている扇は、ローランサンの絵に何度も何度も描かれる象徴的な題材です。
 この絵が描かれる約3年前から始まった、ピカソらによる芸術運動「立体派」の影響が強く見られると同時に、直線と曲線の構成の巧みさや、表現の繊細さといったローランサンならではの特徴もよく現れています。
 28歳のローランサンは、画壇に新進画家として地歩を固めつつありました。

1927年頃
画布に油彩 / Oil on canvas

 パリ生まれの作家サマセット・モーム(1874-1965)旧蔵。
 モームは南仏リヴィエラの別荘を飾るために数点のローランサンの絵を買い、1934年のロンドンでのローランサンの展覧会のカタログに序文を書いています。「…そこにはさらに、我々がかくも愛するパリ的なソフィスティケーションというものがあった…」。
 「狂乱の1920年代」といわれるお祭り騒ぎのパリ社交界で、当代の人気画家だった時代の代表作です。
1953年頃
画布に油彩 / Oil on canvas

 60歳を迎えようとしていた頃に描き始め、10年近い歳月をかけて死の数年前にようやく完成させた、晩年を飾る大作です。古典的かつ大胆な構図に、ローランサンの、老いてもなお褪せることのない芸術への情熱をうかがうことができます。背景に見える橋は、セーヌ河にかかる橋でしょう。かつて描いたパッシー橋か、詩人アポリネールが彼女との恋をうたったミラボー橋か…。
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